人身保護請求とは
1 人身保護請求とは
不当に奪われている人身の自由を、迅速、かつ、容易に回復させることを目的として、人身保護法が定められています。
人身保護法に基づく救済(人身保護請求)の例としては、国家権力による違法な拘束などが想定されていますが、 子どもの引渡しの場面でも使われることがあります。
というのも、人身保護請求では、裁判所に、「裁判速行の義務」があり、他の裁判と比較して迅速な裁判が期待できるからです。これは、請求をする側にとっては大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
2 どういう場合に使うのか
人身保護請求が認められるためには、拘束に「顕著な違法性」が必要となります。
「顕著な違法性」が認められると考えられる場合は、人身保護請求を検討する余地があると思われます。
例えば、親権者でも監護権者でもない者が子どもを拘束している場合です。
この場合、請求者の監護の下に置くことが拘束者の監護の下に置くことに比べて子の幸福の観点から著しく不当なものでない限り、拘束の違法性は顕著だとされていますので、人身保護請求を検討する余地が十分あります。
また、親権者や監護権者であっても、拘束者に対し、子の引渡しを命じる審判等がされており、その権限が制限されているにもかかわらず、拘束者がこれに従っていない場合も、人身保護請求を検討する余地がありますし、そのような審判等がなくても、拘束者のもとでは著しく健康が損なわれたり、満足な義務教育が受けられないなどの事情がある場合は、人身保護請求を検討する余地があると考えられます。
人身保護請求は、弁護士を代理人としなければならない、と法律で決められていますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。