不貞の慰謝料請求について
「不倫した夫(妻)に対し慰謝料を請求したい」
「不倫相手にも慰謝料を請求したい」
「慰謝料を請求された」
といった相談は珍しくありません。
しかし、よくよく話を聞いていくと、慰謝料請求が認められそうなケースもあれば、難しいケースもあります。
不貞行為
「不倫された」と話をされている方でも、どのような根拠に基づいて話をされているのかは、人それぞれ違っています。探偵や調査会社を使って、ラブホテルに入る写真を持っている方もいれば、不倫をにおわせるメールを持っている方、特に証拠はまだ持っていない方など、様々です。
前提として、不倫と言っても、証拠がなければ、裁判所では慰謝料請求は認められませんし、裁判外で請求しても拒否されることが多いでしょう。
ですので、証拠を何もお持ちでない場合、まずは、証拠を確保する必要があります。
証拠は色々あります。代表的なものは写真やメールですが、その内容によっては、十分と言えない場合も多々ありますので、注意が必要です。
例えば、慰謝料が認められる「不貞」とは、簡単に言えば、性交渉を指しますので、キスだけでは「不貞」と言えません。路上のキス写真が1枚あるからと言って、十分な証拠とは言えないのです。
メールについても、性交渉を行ったことをずばり認めている内容であれば別ですが、それだけで「不貞」と認められる可能性はかなり低いですので、十分な証拠とは言い切れません。
十分な証拠を確保できているか否かは、慰謝料を請求できるか、できないか、に関わる重要な問題ですので、一度、専門家にご相談されることをお勧めします。
破綻後の不貞行為
例えば、不倫当時、婚姻関係が破たんしていると、特段の事情がない限り、慰謝料を請求しても裁判所では認められません。
ですので、不倫当時、婚姻関係が破たんしていたか否かによって、不倫の慰謝料を請求できるかどうか、結論が変わってきます。
婚姻関係が破たんしているか否かは、同居しているか、別居しているかなど諸事情から判断されます。同居していれば破たんしていない、別居していれば破たんしている、という単純なものではありません。
破たんしているか否かは、具体的な事情によって異なってきますので、慎重に判断する必要があります。
既婚者と知らなかった
不倫相手に対して慰謝料を請求すると、既婚者だと知らなかったという反論がされることがあります。
実際の裁判でも、既婚者だと知らなかったことを理由に、慰謝料請求が認められなかったケースもあります。
しかし、たとえ既婚者だと知らなくても、知らないことについて「過失」がある場合は、慰謝料請求は認められます。例えば、左手の薬指に指輪をしていたり、同じ勤務先の上司と部下の関係であったりした場合は、既婚者だと知らないことについて「過失」があると判断される可能性が高いと言えるでしょう。
「過失」があるか否かも、具体的な事情によって異なってきますので、専門家の意見を聞くことをお勧めします。
不倫の慰謝料については、間違った判断を避けるためにも、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。